自転車なお遍路イメージ
2012年春
はじめに
4月28日(往路)
4月29日(88〜86番)
4月30日(85〜80番)
5月1日(79〜70番)
5月2日(69〜66番)
5月3日(65〜62番)
5月4日(61〜58番)
5月5日(57〜52番 復路)

4月29日(晴)

●凍ったおにぎりは(゚д゚)マズー。

1番 霊山寺(7:50/19.1km)

朝5時半に起きて、身支度を整えて6時頃玄関へ。玄関先で自転車を組み立てる。概ね問題なかったので6時25分出発。概ねというのは、ハンドルに取り付けるiPhoneのホルダーのスペーサーが脱落していたからだ。これは途中のコンビニでビニールテープを買うことにする。

iPhoneのMapを地図がわりに、まずは霊山寺を目指す。納経するつもりはないが、とりあえず一周しておこう、という気持ちがあるためだ。こんな所がA型っぽい。他人からはB型、あるいはAB型にしか見えないと言われるのだが。血液型は自己暗示だという説を最近聞いて、納得するところ大である。

ちょっと涼しめで、走るには快適なコンディション。

出発して、いきなり徳島市内で道を間違える。やっぱりiPhoneは頼りない。タクシーの運ちゃんに道を聞いてリスタート。とりあえず前回も目印にした徳島大医学部目指して進む。途中のコンビニでビニールテープを買い、ついでにハサミを借りて、ハンドルバーに巻きつける。これでホルダーの固定もOK。以降、iPhoneをナビがわりに使用した。結果、ずいぶん助かったが、反面、結構嵌められたような・・・。

相変わらず吉野川は広い。

最近ほとんど自転車に乗っていないので、なかなか進まない。特に何本もある橋のアップダウンが堪える。1時間半ほどかけて、7時50分、霊山寺に到着。さすがにちょっと懐かしい。納経、読経はせず、手だけ合わせてすぐに出発。相変わらずリッチな札所という印象だ。

人で賑わう霊山寺。ザックを背負った
歩きへんろの姿もめだつ。

そこから一路大窪寺を目指す。今回のスタートは88番大窪寺なので。一気に走るつもりだったがお腹が減ったので、出発早々2番極楽寺で止まり、朝食を食べる。昨夜、コンビニで買ったおにぎりをウエストバッグから取り出して包みを開けると、ボロボロ崩れてくる。なんと凍っているじゃあ〜りませんか(古っ)。昨夜、冷蔵庫にしまっておいたのが、冷えすぎてチルド状態になったようだ。しかたないので食べたが、いやもう味も何もない。ひたすら不味い。これからおにぎりの冷蔵庫保管はやめることを固く心に誓う。

ところでちょっと覗くと、以前ここで食べたちらし寿司が400円になっていた。前の250円なら納得価格だが、400円はどうなんだろう。相応に中身は充実したのだろうか。

8時20分、極楽寺出発。県道を西へ走る。道は広くないが、交通量はそれほど多くないので比較的スムーズに走る。ただし舗装は傷んでいて走りにくい。1時間ほど走るとファミマがあった。ここで休憩。ソフトクリームが食べたくて店長らしいおっさんに聞くと、「ソフトクリーム、ありますよ」と言って出してきたのが、ソフトクリームの形をしたアイスクリーム。「はいソフトクリーム」と差し出す店長に「これ、アイスクリームでしょうが」と突っ込んでも悪びれず「アイスクリームのソフトクリームです」「・・・・」。仕方なくこれを買う。ああ、ミニストップがファミマを買収してくれないものか。

駐車場に座ってコーンをかじっていたら、右奥の仮歯がバリっと割れて外れる。やってもた。最近、左右の奥歯が同時に割れて、全部抜いて治療中。なので今の奥歯はすべて仮歯だった。ところが出発前日、左奥の仮歯が外れ、今回ここで右の仮歯が破損。このへんろは奥歯なしで廻ることになる。ちょっときついな〜。早めに医者に行っておかなかったバチがあたったのだろう。は〜。

ファミマからしばらく走ると、市場町の大窪寺に向かう分岐の交差点に出た。ここを右折すると大窪寺を目指す道になるのだが、大窪寺までは食堂やコンビニは期待できない。この辺が逆打ちとはいえ、2回目だと判断しやすい。そこで食堂を探すが、11時前でラーメン屋は開店前、喫茶店はパンしかなかったりして、これという所が見当たらない。

大窪寺はあの頂上のさらに向こうのはず。
大変なのは分かっていても
めげるなー。

20分ほどうろうろして、最終的にミニストップに入る。ここは中にイスとテーブルがある。少なくとも四国では、ミニストップはコンビニの「神」だと思っている。イオンはセブンイレブンとファミマを早急に買収して、ミニストップ化してほしいものだ。暑い時や雨の中、座って食べられる至福感は何ものにも代えがたい。

ミニストップではスパゲティを頼み、温めてもらって隅のテーブルセットで食べる。奥歯がないので、随分時間がかかる。麺類のような長いものより、飯ものの方が食べやすいことを発見した。ついでにこの日初めてのコーヒーも飲む。「美味し」(最近、柳沢きみおの『大市民』にはまっている)。11時9分、ミニストップ出発。

●二度と勘弁、大窪寺逆打ちルート。

88番 大窪寺(13:35/68.0km)

しばらく川沿いを走ると、道は徐々に上り坂になる。そして勾配も急になっていく。何とか登れる程度の勾配だ。たまに足をついて休みながらだが。1時間ほど走って相栗というバス停の前で休憩所を発見。ここで休憩。靴も脱いでベンチに横になる。気持ちがいい。15分ほど休んで、12時30分、出発。途中、数人の歩きへんろとすれ違う。欧米系の女性遍路も一人。連休の初めということで、結願して1番を目指す人はまだ少ないようだ。

休憩所で一休み。ベンチに寝転がってゆっくり休めた。

頑張ってペダルを踏むが、坂は少しずつ急になる。ちょっと走ると香川県に入った。ここからのどんどん坂の勾配がきつくなってくる。それでも初日ということもあり、まだ多少頑張れる余裕はあった。

ボーダーヲタなので、県境をまたぐこの瞬間が毎度楽しみ。

五名の交差点を左に曲がり、五名トンネルを抜けるとさらに坂が過激になる。そのうち勾配21度なんていう凶暴な標識も見えてくる。これは押すだけでも一苦労だ。結局大窪寺までの最後の5kmで、ほぼ1時間かかってしまった。現在、新道の工事中で、この道ができると多少はラクになるのかな?ただ、2度とこのルートは通りたくない。いや、絶対通るものか。とはいえ、これからまだ鶴林寺や焼山寺が待っているのかと思うと、ちょっとうんざりする。

13時35分、這いずるようにして大窪寺着。八十窪横に自転車を止める。周りにはツーリング用の自転車が10台以上止まっている。自転車へんろではなく、いくつかの自転車のツーリンググループが登ってきているようだ。みんな一様にオルトリーブのサイドバッグを付けているのに驚いた。そして一様に目も合わさず素っ気ない。そのうち、徳島大学のサイクリング部の男の子が声をかけてきて、ちょっと話す。「いいなあ。いつか自転車でお遍路してみたいなー」。こちらは疲れて受け答えもままならない。他のメンバーは知らん顔だが、正直それが有難い。こちらも失礼して大窪寺に向かう。

今回は逆打ちキャンペーンのためか、前回より納経所の愛想はよかった。
藤は相変わらず綺麗だ。

坂道でこわばった足で石段を登る。大窪寺は5年前来た時とあまり変わらなかった。疲れきっていたので、あまり感慨もなく納経。藤は綺麗だった。今年は逆打ちの年(?)ということで、香川の札所が共同キャンペーンを張っていて、納経すると御影札の他に、札所のオリジナル散華をくれる。得したような気分で、ちょっと嬉しい。昔からおまけには弱いのだ。納経の後、八十窪が混んでいたので、野田屋(竹屋敷)でソフトクリームを食べて休憩。14寺20分、出発。

●そろそろ時間が・・・

87番 長尾寺(15:15/86.3km)

大窪寺から坂を下り、竹屋敷の角を曲がって旧道へ。緩い下りで、快適に走ることができた。5年前と比べて整備されていて、道を間違えたかな?と思わせる部分もあった。県道377号に出ると今度は登り。押すほどではないが、なかなかきつい。一生懸命こいでいたら、おいしい湧き水を通り過ぎてしまった。

3kmほど登った後はひたすら下り。おへんろ交流サロン前の道の駅でちょっと一息入れた以外は、ひたすら長尾寺を目指す。ほとんど一本道なので迷うこともなく到着。そろそろ時間が厳しくなってきた。急いで参拝して出発。15時45分、出発。

この辺りに来ると道が平坦になり、精神的にもラクになる。

●今日はここまで。予定から2寺こぼれた。

86番 志渡寺(16:15/93.3km)

さぬき市の街並みを北上し、志渡寺へ。源内さんのお墓の前を通って参拝。前回回った時、善通寺の宿坊で一緒に食事した女性へんろが、「志渡寺の宿坊はフランス料理が出て、美味しかった」と言っていたが、今は宿坊もフランス料理も、ついでに住職(医師)の診療所もやっていないみたいだ。16時45分、出発。

今日はここで打ち止めだが、さて宿はどうしよう。

●岡田屋の女将さん、お世話になりました。

岡田屋(18:00/101.1km)

翌日はさかしんさんとのランデブー。合流地点は屋島寺の登り口。となると朝はできるだけ早く屋島寺までたどりつかねば。そう考えると、今日の宿は八栗寺に近い宿がいい。ダメ元で八栗寺横の岡田屋さんに電話してみる。

女将さんが出て、「食事ができるかどうか、お父さん(ご主人)が出ていてわからないのよ」「それなら素泊まりでいいですから」と言ったやりとりがあった。やれやれこれで宿が決まった、と思ったら最後に「ケーブルカーは5時15分が最終だと思いますけど、間に合いますか?」と言われてしまった。時間は17時。うーん、頑張ってみます。

八栗までの道(国道11号)は、割に走りやすい道だった。平坦で無風。足も軽く回った。しかし10kmあまり(この区間、iPhoneが切れていたのでログは直線で8km、概算で多分10kmぐらい)で最後の登りを入れて15分はそもそも無理。その間、女将さんもケーブルカーの時間を確認して電話をくれたりする。

・得意の追込みも及ばず。

「あなたと札所で一緒になった人が泊まっているけど、あなただったら自転車で八栗寺まで登ってこれるって言ってるわよ」「それ、無理です」(きっぱり)

長尾寺と志渡寺で、アラフォーの女性二人連れと前後してお経を上げたりしたのだが、どうやらその二人連れが泊まっているらしい。人を外見で判断しないでほしいな〜。こっちはアラカンでっせ。

ケーブルカーの駅の手前でタイムアップでゲームオーバー。仕方ない。自転車は駅に置き捨てて、タクシーで八栗寺まで上がって、明日はケーブルカーで降りてこよう。そんな心づもりをしている時、女将さんから電話。

「間に合わなかったでしょ」「ええ、仕方ないんで自転車を駅に置いて、タクシーで上がります」「それなら迎えに行ってあげるわ」ということになった。助かった。甘えついでに自転車を畳んだ大きさを説明して「一緒に乗せてもらえませんか?」と聞いてみる。「OK]。これで明日はかなり早めに行動できる。結局これが大正解。ケーブルカーの山頂からの始発は7時30分なので、自転車がなかったらかなり時間をロスするところだった。

さらにさらに甘えて、近くのスーパーで弁当とビールを買う時間をもらう。その後、ケーブルカー駅の自転車置き場で、自転車を畳む。作業中に女将さんのクルマがやってくる。女将さんは自転車を畳むのを珍しそうに眺めていたが、積み込みは手伝ってくれた。

・心配りが行き届いて嬉しい宿。

自転車をクルマに乗せると、女将さんのクルマは、ケーブルカー脇の道をラリーカーのようにガンガン登っていく。八栗寺前の階段近くが駐車場になっていて、そこで自転車を下ろして宿まで運ぶ。女将さんがサイドバッグを持ってくれる。「毎日荷物を運んでいるから、これくらい平気よ」。「次回の免許書き換えは、自動車学校で検査しないと」という歳にはまったく見えない(あ、書いちゃった)。

宿に入ったらすぐに自転車を組み立てる。玄関で組み立てていると、女将さんはその横の部屋でシーツにアイロンをかけながら付き合ってくれる。お陰で岡田屋さんの家族構成とかお子さんたちの職業とか、だいたいわかってしまった。

岡田屋さんの外観。
いい宿だけど、知らなかったら入りづらいかも。

組み立てが終わると部屋に案内される。建物は古めかしいが、中は清潔だ。部屋の床の間にも、野の花が活けられていて良い感じだ。風呂もステンレス。洗濯機は全自動で、乾燥機もある。

スーパーで買ったハンバーグ弁当を、電子レンジで温めてもらって夕食。夕食を食べているとご主人が宿帳を持ってくる。無口だが、笑福亭鶴瓶のお兄ちゃん、といった味のある雰囲気のご主人だ。

さかしんさんからメール。明日の予定を打ち合わせる。というか、さかしんさんが気を利かせてサポートしてくれている感じ。非常にありがたい。

洗濯をして、10時に就寝。

この日の累積標高906m。

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