自転車なお遍路イメージ
2012年春
はじめに
4月28日(往路)
4月29日(88〜86番)
4月30日(85〜80番)

4月30日(曇時々雨)

●聞いてみるもんだ。7時前に納経OK。

85番 八栗寺(6:45/0km/累計101.1km)

5時半起き。朝食は6時でもいいですよ、というお言葉に甘えて6時前に広間へ。食事の用意は一人分だけだ。女将さんに聞くと、女性の二人連れは、朝食抜きでもう出たという。

朝食のメニューは、意外に充実していた。野菜にだし巻き玉子、海苔、納豆などボリュームたっぷり。歯さえ良ければがっつり食べられたのに、ご飯2膳で箸を置く。のろのろ食べていると、すぐにお腹がいっぱいになってしまうのが悲しい。

朝食にしてはかなり豪華。夜も食べたかったな。

6時20分ぐらいに宿を出て、八栗寺に参拝。前回は知らなかったのだが、ここは大聖歓喜天が有名。関西の生駒、東京だと待乳山、名古屋だと袋町お聖天みたいなものだ。きちんとお付き合いしないときつい天部の神様とのことなので、ご本尊以外にも聖天さんに丁寧にお参りする。

左は大師堂、右は聖天堂。

・納経所にラッキーなオーラを感じる。

6時45分ぐらいに参拝が終わった。納経時間はまだだだな、と思って納経所を見ると、なんとなくいいオーラが漂っている。ダメ元で「いいですか?」と納経帳を差し出したら、いそいそと朱印を押してくれた。するとベンチにで休んでいたやや年配の歩き遍路が、「何だ、もう納経してくれるのか。ずーっと待ってたのに」とぼやきながら納経してもらっていた。

宿に戻り、6時47分、出発。

●さかしんさんと無事合流。

84 番屋島寺(7:20/6.2km/累計107.3km)

国道11号に出て暫く走ると、懐かしの屋島ロイヤルホテルが見えてきた。心なしかちょっとうらぶれた感じになっている。廻りの飲食店もなくなっていた。その角を曲がって屋島寺方面へ。坂をしばらく登ると、小学校の横に駐輪場があった。ここに自転車を止める。通りかかった人に、「自転車でまだ上に行けますか?」と聞いてみる。「これより上は、押して歩くだけだから、ここに停めておいたら」と言われた。そしてさかしんさんに「小学校の横の駐輪場に自転車を置いて、これから登ります」とメールを送る。

屋島寺の本堂と大師堂。今日は人がいない。

自転車を置いて、歩いて屋島寺に向かう。時間が遅いせいか、前回より歩いている人も少ないようだ。坂もきつい上、サイクリングシューズのクリートが滑って、力が入らない。休憩用のベンチすべてで休んで、8時026.1分、屋島寺着。喉が乾いたので、参拝を終えて自販機を探す。寺の人に教わって売店に行ってみたが、まだ開店していなかった。仕方ないので8時30分、下山。

下りもやはりクリートが滑って、あまり早く降りられない。もうすぐ登山口、というところでさかしんさんからメール。「屋島寺登山口入り口にいます」という内容。ちょっとちぐはぐになった(僕のメールが送られていなかったのが原因)が、無事ドッキング完了。早速、掲示板で話題になった、井村屋の「えいようかん」をいただく。これは後々、とても助かった。

さかしんさんの案内で、9寺12分、一宮寺に向かう。

●景色を眺める余裕が嬉しい。

83番 一宮寺(10:22/21.4km/累計122.5km)

さかしんさんに引いてもらって、というほどぴったりくっつけない。やっぱり普段から走っている人の脚にはかなわない。しかし案内してもらっていると、周囲を見回す余裕ができる。川沿いの堤防はクルマも少なくて快適だったが、中洲に咲き誇る野の花が美しかった。一人で走っていたら、たぶん目に入らなかっただろう。

先程から雨がぱらついていたが、このあたりで雨がちょっと強くなってきた。それほど強い雨ではないので、あまり気にならない。

方向もよくわからないが、付いて行くだけなので気分的にかなりラク。さかしんさはかなりの気配り名人で、こちらが負担にならないように手信号を出したりスピードを調整したりと気を使ってくれる。

「はーさんが自転車を直してもらった自転車屋さん、きれいになってますよ」とのことで前を通ったが、改装されてきれいになっていた。商売繁盛で、こちらも何だか嬉しい。

一宮寺について参拝。さかしんさんが自転車を見ていてくれるので、鍵をかけることもなく、気楽に参拝できた。ありがとうございます。

ジャージ姿も決まっている
さかしんさん。
こっちは早くも、
だいぶよれてる。

●「ひやあつ」のさぬきうどん。

宮武うどん(10:58/24.6km/累計125.7km)

参拝が終わったのが10時45分。そろそろ空腹感が。さかしんさんに「朝早かったので、そろそろお腹が」と訴える。にっこり笑ったさかしんさん、「僕も朝は早いんですよ」と気持よく付き合ってくれることに。あとはお任せで付いて行くだけ。

案内されたのは「宮武うどん」といううどん屋さん。さかしんさんがここなら、ということで案内してくれたからには、かなり有名なのだろう。11時前だというのに、長い列ができている。さぬきうどん食べ歩きみたいなガイドブックを持っている人が目立つ。さかしんさんに、何を注文するのか尋ねると「ひやあつ」とのこと。「?」

麺も出汁も熱いのは「あつあつ」、麺、出汁とも冷たいのは「ひやひや」、麺が熱くて出汁が冷たいの(逆だったかな?)が「ひやあつ」。ふーん、さぬきうどんは奥が深い。

10分ほど並ぶと、カウンターにたどりつく。さかしんさんの真似っ子で、「ひやあつ」を注文。トッピングは、歯が悪いので、食べられそうなちくわの天ぷらだけ。

宮武うどんのメニュー。ちくわ天入りひやあつ。

ビジネス街の昼休みの食堂のような熱気で、さっと席を確保し、どんどん食べて、さっさと出ていく。ところが歯が悪いと、文字通りうどんも歯切れが悪い。前歯だけでは、なかなか噛むのが難しい。普通の人の倍くらいの時間がかかってしまう。さかしんさんにも、他の人にも、かなり迷惑だったかも。たはは。

後でさかしんさんには、「うどんは喉で食べるのだから」と言われたが、やっぱり多少は噛みしめないとと味も分からない。たぶんこのひやあつのほんとの味は理解できなかっただろうけど、出汁はとても美味しかった。

うどんもさかしんさんにご馳走になってしまった。こちらが逆に出さないといけないのに・・・。ご馳走さまでした。

11時28分、出発。

●相変わらずバブリーな雰囲気。

80番 国分寺(11:59/32.8km/累計133.9km)

さかしんさんのアドバイスで、まず国分寺から打つ。一宮寺からだと、このルートの方が距離が短いそうだ。30分ほど走って国分寺に到着する。金色の仏像などが増えているが、東南アジアの寺院風ではなく、ちょっと成金風で面白い。いかにもこの札所らしくバブリーで俗っぽい。けっして嫌いじゃないが。

金箔を貼って祈願するバブリーなお大師像。その分、功徳もてんこ盛り。

国分寺は納経所が売店になっているのだが、今回回ってみて、こんなパターンの納経所が以前より増えているような気がする。営業的には販促効果はあるだろうが、そこはかとなく違和感が。そういえば納経所=売店の中は撮影禁止になっていた。前はフリーだったのに。

お土産物店風の納経所。在庫は以前より減ったかも。

12時29分、出発。

●迷惑かけっぱなしの上り坂。

82番 根香寺(14:47/48.2km/累計149.3km)

少し走ってトイレ休憩。ついでに飲み物を補給。

当初、さかしんさんから、距離の短いルートの提案があったのだが、僕が恐れをなして断った。峠の短いルートは、どうみても斜度がきついはず。多少距離があっても、ちょっとでも楽なルートを選びたかったのだ。

しかし走っていて鬼無駅手前の信号で止まった時、さかしんさんから「ここで曲がっていくと、短い方のルートですよ」と言われ、急きょルートを変更。楽なルートといってもたかが知れているし、時間が短縮できそうなこちらのルートもいいかと思ったからだ。

最初のうちはなんとか乗ってついていけたが、後半ほほとんど押し歩き。さかしんさんも、たまに付き合って歩いてくれる。いやはや申し訳ない。

あんまりノロいので、猫も逃げずにこんな状態。

この道を上がると、白峯寺と根香寺の間にある、オレンジパークに出る。距離にして5.1kmで昨日の大窪寺で悪戦苦闘した距離と変わらないが、時間は倍近い1時間40分かかってしまった。この道もへんろ道になっているのか、歩きへんろ何人かとすれ違った。確かに根香寺から一宮寺を打つには、この道がかなり近道だ。順打ちならオススメルートかもしれない。

気息奄々の状態でオレンジパークにたどり着く。そこから根香寺まではほぼ下り。下りはありがたいが、後でこの道を引き返さないといけないので、嬉しさも半分だ。

まさに滴るような緑が美しい。

雨の根香寺を参拝し、15時20分、出発。

●クリアしたところでゲームオーバー。

81番 白峯寺(16:12/56.9km/158.0km)

根香寺から白峯寺までの3分の1ほど登り。ここでも結構押して歩く。残り3分の2は快適な下り。多少登りはあっても、勢いで登っていけるのでラクだ。

白峯寺は前回来た時は改修中でざわざわしていたが、今回は工事も終わって落ち着いた感じ。とりあえずさくっと納経する。

なんとか白峯寺が打つことができ、最低目標はクリアできた。さかしんさん、ありがとう。

参拝が終わってさかしんさんと今後の予定を相談した。ちなみにさかしんさんは、参拝の都度、30分ほどの時間、ずっと待っていてくれる。ほんとに感謝感謝である。

当初予定では丸亀の郷照寺まで行く予定だったが、とんでもない。坂出までいくのがやっとの時間だ。予定を変更して、坂出泊りとする。さかしんさんにも最後の無理を言って、同行してもらうことに。今まで一緒に走っていても、ゆっくり話をする余裕もなかったので、最後ぐらい食事をしながら話をしたかったもので。

●本四架橋の夢の跡?

××ホテル(17:48/73.0km/174.1km)

さかしんさんの道案内で、スムーズに坂出市内へ。ホテル探しも親身になってつきあってもらう。ちょっと走って、小奇麗なホテルがあったので、目の前から電話してみる。これもさかしんさんのNav-uで電話番号を教えてもらう。

電話をしてみると、ホテルのフロントらしからぬ、よれよれした口調。それでも空き室があることと、1泊4700円だったことからすぐに予約してホテルに向かう。

さかしんさんに入り口で待っていてもらいフロントへ。人のよさそうな、どっちかいうとへんろ宿の親父さんといった雰囲気の老年のフロントマンがキーを渡しくてくれた。自転車はホテルの玄関に置いてよいとも。キーを持って部屋に行くと、様子が何か変。中を見ると荷物や靴が置いてあり、人が居る気配だ。あわててドアを閉めてフロントへ戻る。訳を話すと「ああ、休みの人間が荷物を置いているようですね。じゃあこっちの部屋で」と、悪びれることなく新しいキーを渡してくれた。

「・・・・」

とにかく急いで部屋に行き、荷物を置いてさかしんさんの待つ玄関へ。歩いて3分ほどにある焼肉屋で夕食にする。自転車で帰るさかしんさんはノンアルコールビール、僕は生中で申し訳なかったが、まずは乾杯。いやいや美味。ゆっくり話したかったが、さかしんさんの自宅までは1時間半ほどかかるそうなので、1時間ほどで切り上げて解散することに。

さかしんさんがいなかったら、はたして白峯寺を打てたかどうか。へたすると翌日、もう一度白峯寺アタックをしてたりして。さかしんさん、ほんとにお世話になりました。

ホテルに帰ってフロントで洗濯機の場所を聞く。洗剤はフロントで貸してくれるという。ついでに借りたら、奥にいたガタイのいい私服の男性が、家庭用の洗剤の箱を「余ったら返してよ、あ、使い切れないか、がははは」と渡してくれた。うーん、結婚式場まであるのに、なんだかよくわからないホテルだ。

洗濯機は、いずれも乾燥機付きが4台並んでいた。多分、本四架橋の工事の時には繁盛したのだろう。兵どもが夢の跡、という言葉がふと頭をよぎった。

わけがわからないので、ホテルの名前は伏せました。あしからず。

この日の累積標高772m

※この日、自分のサイコンの調子が悪く、iPhoneもまだ分かっていなかったので、 後からさかしんさんのNav-uの走行ログをいただきました。 しかし帰って調べたら、iPhoneでもログが採れていました。 さかしんさん、やたらお手数とご迷惑をおかけして恐縮です。

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