2006年
2007年
1月4日(49-61番)
|
■新年早々知多四国へ <07年1月4日>自宅出発(08:38) 昨夜のうちに自転車に空気を入れ、自動車に搭載澄みなので、すぐに知多に向かう。普段は一般道を通るが、今回は有料道路の知多中央道へハンドルを向ける。 実は前回、内海(うつみ)の47番持宝院に忘れてきた線香入れ。これをまだ取りに行っていなかった。電話で保管だけはお願いしておいたので、早めに取りに行かなくては。これが新年早々出かけた理由でもある。 ■やっと去年のツケを回収第四十七番霊場「持宝院」(09:42) まだ正月休みのところが多いからか、普段の休日よりすいている。この2年ほど、自転車の走行距離が自動車を上回っているので、運転がぎこちない。周囲の邪魔にならないように、適当なスピードの車の後について走る。昔は走行車線ばかり走っていたのに、吾ながら随分変わったものだ。 制限速度いっぱいの80kmで走って、持宝院までほとんど1時間。予想より20分ほど早く着いた。前回来た時は曇り空だったが、今日は快晴。青空の下で見ると、この札所の佇まいは一段ときれいだ。 知多には珍しい長い石段を登って納経所へ向かう。昨日も足慣らしで50kmほど走ったのだが、その疲れが残っているのか、ちょっとしんどい。四国のことを考えると不安だ。 納経所で呼び鈴を押すと、お庫裏さんが出てきた。ちなみにご住職の奥さんのことを、この地方ではお庫裏さんと呼ぶ。京都のお寺の奥さんが書いた本では、自分を大黒さんと書いていたが、これが正解?この地方が変わっているのだろうか。 この札所のお庫裏さんは、明るくて元気な奥さんだった。用件を伝えると、早速奥で探して、線香入れを持ってきてくれた。 奥さんは「なかなかおいでにならないので、心配してましたよ」と明るく言う。恐縮して謝る。最後に「名古屋から見えたの?」と聞かれた。「そうです、名古屋です」と答えると納得したようにうなずいた。名古屋人は忘れ物が多いのか? その後本堂にお参りして、ちょっと余分にお賽銭を入れた。 ■ようやくスタート常滑駅 有料パーキング(10:27) 今回も、常滑駅の有料駐車場に駐車することにする。持宝院から常滑に向かって走ると、今日のスタート地点である吉祥寺の近くを通る。そこから今回スタートの駐車場まで、車のトリップメーターで計ってみた。16.6km。約1時間コースだ。ちょっと遠いような気もするが、他を探すのも面倒なので、そのまま車を停める。 最近は自転車のセッティングも手馴れたもので、5分もあれば組みあがる。組み立てて、装備を確認して、10時34分、いざスタート。 ■区切り始めのご挨拶第四十九番霊場「吉祥寺」(11:37/17.1km/累計17.1km) スタートしてすぐ、トイレに行きたくなる。通りがかったコンビニに入り、トイレを借りる。ついでにペットボトルのお茶を1本購入。 さらに、今回は新しいサドルなので、ここでセッティングを微調整。位置を僅かに前に出し、さらに角度もちょっと前を上げた。この調整で10分以上時間をくってしまった。おかげで以後、特にサドルで悩まされることはなかった。 そこから快適に走行、といいたいが、まだ体が慣れていない。なんだかギクシャクしながらペダルを踏んでいたら、ロードバイクに抜かされた。白のLOOK、KG481かな。 出発からほぼ1時間後、吉祥寺に到着。ロスタイムを除くと、まあまあの速さだ。さっそく輪袈裟を着け、数珠や納め札、線香入れなどを出しやすい位置に入れて準備を整え、弘法堂で巡拝開始のご挨拶。お経だけあげて、納経せず、そのまま出発。11時50分。
■また弘法道を走る。第五十六番霊場「瑞境寺」(12:05/0.9km/累計18.0km) 順番どおりなら50番、51番の野間大坊を回ることになるが、近い順に回ると56、52、53番となる。手持ちの「歩き巡拝 知多四国めぐり」(半田中央印刷)でもそのコースを推奨しているので、56番の瑞境寺に向かう。 その地図の道をたどると、道は前回同様、自転車1台がやっとの弘法道となって山の中に入っていく。今回もその道をたどる。どんな山奥に連れて行かれるかとドキドキする。
しかし丘一つ越えるとあっけなく人家のある場所に出た。そしてその向こうにはお寺の屋根らしきものが。地図で見ると間違いなく瑞境寺だ。
道路から山門まで急な坂だ。ギアを落として軽々登る。やっぱりマウンテンバイクは坂が強い。 お参りの後、ここのベンチを借りて、納め札を書いた。 12時24分、出発。 ■田んぼの中に朱塗りの門第五十二番霊場「密蔵院」(12:27/0.4km/累計18.4km) 自転車で走ると、ほんの3分。すぐ近くに密蔵院はあった。遠くから見ると田んぼの中に鎮座しているように見える。近づくと、朱塗りの門が鮮やかだ。
中に入ると入り口正面に石段がある。その上には「かじとり観音」があり、この観音様が有名なようだ。門をくぐった時も、老夫婦が石段を登っていった。 納経はお庫裏さんがしてくれたが、丁寧で、最後は合掌で送ってくれたのが嬉しかった。 12時44分出発。 ■大きな念珠と蘇鉄の木第五十三番霊場「安養院」(12:46/0.6km/累計19.0km) この札所も、密蔵院を出て進むとあっという間に着く。織田信長の三男、三七郎信孝が秀吉に迫られて自刃した寺でもあるようだ。もちろん今は普通の寺院である。 本堂に続いて弘法堂に参拝する。お堂の前には大きな数珠がかけられている。転輪車のようなものだ。引っ張ると大きな音をたてるの驚いた。
お賽銭の10円玉を用意してくるのを忘れたので、納経の時に両替をお願いした。するとお嫁さんらしい女性は、わざわざ賽銭箱を開けて、両替してくれた。 12時4分、出発 。■初詣の賑わいで、さんざん迷う第五十番霊場「大御堂寺」(13:11/0.4km/累計19.4km) 第五十一番霊場「野間大坊」このあたりで一番大きな札所だ。一つの寺院なのだが、二つの札所に分かれているようだ。 距離的にはすぐ近くなのだが、初詣の人が大勢いて、自転車を停める場所がなかなか見つからない。結局、大御堂寺前の山門脇に停めることができた。この山門、源頼朝の建立という。なぜなら、この地で頼朝の父親、義朝が家臣に謀殺され、その墓があるからだ。義朝の墓の隣には、先ほどの織田信孝の墓もある。どうも血なまぐさい土地だ。 まずは大御堂寺に参拝。初詣の人ばかりなので、こそこそと読経して、野間大坊に向かう。
同じ敷地内にあるはずなのだが、露店が出ていたりして、よく様子がわからない。結構うろうろして時間をロスしてしまった。最後は、大御堂寺の前に地図を見つけ、それで野間大坊の場所がわかった。駐車場の反対側だった。
自転車を置いておくのも不安だったので、押して移動する。適当な場所を見つけて自転車をロックする。そして門をくぐって一歩中に入ると、ここも人で大賑わい。その上、ずらりとお札などが並べられていて、本堂も弘法堂もわからない。 納経所だけはすぐわかったので、そこにいたお庫裏さんに弘法堂の場所を聞く。聞いても、今度は納札入れの場所がわからない。再び聞くが、お札の間に埋もれていて見えない。結局、息子さんらしき少年が、納め札を預かって、入れてくれた。小さな白い箱が納札入れだった。これじゃ、わからないわけだ。 2つ札所があるとはいえ、30分もかかってしまった。 13時41分、出発。 ■白衣姿の親子連れ第五十五番霊場「法山寺」(13:50/0.7km/累計20.1km) そろそろ昼食にしたいが、周囲は田畑や山林が広がるばかりで、食堂もコンビニも見当たらない。法山寺は、名鉄の駅の近くにある。名鉄の駅前なら何かあるだろうと思ったら、全然あて外れ。駐車場があるだけで、人家もない。 空腹をがまんしながら法山寺にたどりつく。山門にいたるまでが急坂になっているが、ギヤを落とすと楽々登れた。 ここで読経を終え、納経所に行くと、セルフになっていた。自分で押すと、どうしても曲がるのでセルフは好きではないが、仕方がない。今回は割りとうまく押せた。 朱印と悪戦苦闘している最中に、自動車が1台入ってきた。そこから降りたのは白衣姿の親子連れ。若い両親と小学生くらいの男の子だ。3人とも経本も持たず、般若心経をあげている。のんびりとした一般の巡拝者に比べ、何か緊張感がただよっている。 親子連れは、僕がメモをつけたりしている間に、さっさと納経を終え、次の札所に向かったようだ。 ここでも写真を撮ったのだが、我ながら何を撮りたかったのかわけがわからない。というわけで写真はありません。 14時3分、出発。 ■納経所でゼリーのお接待第五十七番霊場「報恩寺」(14:15/2.1km/累計22.2km) 空腹を抱えながら、山沿いを走る。昔から空腹には弱い。力が入らない。それでも何とか報恩寺にたどりつく。自転車を停めて参拝しかけると・・・雰囲気が違う。どうやら葬儀の準備をしているようだ。弘法堂の前には受付テントがどっかりと張られて、お経もあげにくい。もっとも、これはお互いさまなので、おとなしく読経する。 やはりテントをかき分け納経所に行き、朱印をもらう。お礼を言って立ち去ろうとしたら「あ、ちょっと」と呼ばれた。納経してくれたお庫裏さんだ。声をひそめて「これ、どうぞ」といって、素早く緑色の何かを僕の前に置いた。抹茶ゼリーだった。なんだか怪しい取引をしているようで、ちょっと面白かったが、ありがたくお礼を言っていただく。 空腹だったので、これぞお大師さまの配剤、すぐ食べようと思ったが、回りにゴミ箱もない。その上、スプーンもないので、指でかき出さないと食べられない。これは帰ってから食べるしかない。無念の涙を噛みしめて、ポケットにしまう。 お接待に気をとられて写真を撮り忘れ。空腹でたるんできたようだ。 14時25分、出発。 やっと昼食にありつく(14:35) 報恩寺から東に向かい、国道247号に出る。しばらく走ると食堂が見えてきた。うどん屋だ。早速中に入る。中はそれなりに込んでいて、注文したビールが出てこないとか、子供が泣き叫んだりとかで賑やかだ。 カツ丼定食を頼む。カツ丼+うどん+漬物だ。こんなに食べると後がつらいのだが、空腹のあまり、勢いで注文してしまった。この性格がダイエットに禍しているのだ。 しかしながら味もよく、ぺろりと食べられてしまった。ちょっとゆっくり休憩し、15時10分、出発。 ■いざり車を間近に見る番外霊場「曹源寺」(15:36/7.9km/累計30.1km) 風が強くなってきた。それも向かい風だ。まだ足を鈍らせるほどではないが、ちょっと気になる。次の曹源寺に向かうルートで、丘越えと海岸沿いの二つのコースがあり、楽そうな海岸沿いコースを選んだ。 ところが海沿いの道に出た途端、向かい風がいっそう強まる。海岸沿いだから当然なのだが。ここでかなり体力を削がれる。その上、腹一杯食べた後だけに、体が重く、足が回らない。苦労しながら、曹源寺に辿り着く。
弘法堂で参拝して中をのぞくと、いざり車が置いてある。大正時代に、犬に引かれたいざり車で参拝した人が、お参りの後、歩けるようになったという。その時のいざり車とか。木製の車輪は直径も30cmほどでトレッド幅は広い。これでは引っ張る犬も大変だったろうと思う。 15時45分、出発。 ■ほとんどお隣の札所第五十八番霊場「来応寺」(15:47/0.1km/累計30.2km) 曹源寺と同じ並びにあり、ほとんどお隣に近い距離にある。これだけ近いと、後になって印象があまり残っていない。入り口近くに、豆などの野菜の「善人市」(というのかな、これも?)があった。ちょっと心が動いたが、荷物が多くなりそうなのでやめた。
なお、記録で100m移動するのに2分とかかかっているのは、鍵をかけたりする時間が含まれているため。純粋に走行時間ではありません。為念。 16時、出発。 ■納経所で待たされるのもご愛嬌第五十九番霊場「玉泉寺」(16:02/0.3km/累計30.5km) こちらもほどんどご町内。なんだかピンポンダッシュを繰り返しているようで、札所の印象がほんとうに希薄になってくる。その意味では、四国の札所間の間隔は、概ね良くできていると思う。 玉泉寺は、本堂も山門も歴史を感じさせる。ただ自動車の出入りのため、塀を取り去ってあるのでちょっと取り留めのない印象。
参拝が終わって納経所に行き、呼び鈴を押す。しかし誰も出てこない。悪いとは思ったが何回も押す。しかし反応はない。やがて後ろに列ができる。といっても1組のご夫婦だが。 「自分で押して、お布施だけ置いていったらいいんじゃないか」ご夫婦の旦那さんの方が言う。ついでに窓を開けようとするが、開かない。これは我慢するしかない。 5分ほどして、ようやく高校生くらいの少年が出てきた。ちょっとぴりぴりしていた場も和む。 16時15分、出発。 ■石庭のある札所第六十番霊場「安楽寺」(16:24/2.6km/累計33.1km) 玉泉寺を出て、丘を越え、坂を軽快に下る。あまり軽快に下りすぎて、はっと気がつくと行き過ぎている。あわてて戻り、地図で確かめて町並みの奥に進む。結構、時間をロスした。 そんなこんなで、焦って駆け込んで、あまりお寺の中を見る余裕はなかった。納経が終わってあらためてあたりを眺めまわすと、庭が石庭風になっている。 ただ、竜安寺の石庭とはまたちょっと違った雰囲気だが、手入れは大変だろうと思う。
16時37分、出発。 ■四国の札所のような雰囲気だが・・・第六十一番霊場「高讃寺」(16:50/2.2km/累計35.3km) いよいよ、今日最後の札所だ。そんな時に限って、向かい風と登り坂のダブルパンチを浴びる。距離はそれほどないことはわかっているが、時間の余裕があまりないので焦る。 息を切らして高讃寺に辿り着いたのは5時10分前。あたりは薄暗くなっていた。自転車を停め、山門に向かう。山門には立派な、阿吽の金剛力士像があった。一礼して中に入ると、本堂まで石畳が続く。 石畳はほんの100mほどだが、四国の札所を思い出させるレイアウトでちょっと懐かしい。
手早く読経し、納経所へ向かう。暗くなっても灯りは見えず、「無住か?」と思ったほどだ。呼び鈴を押すと、奥から中年の男性が出てきた。住職というよりは寺男といった風情だが、まあどちらでもいい。 朱印を押してもらった後、「どうも遅くにすいませんね」と声をかけると、その男性は「えへへへ」と妙な笑い方をして奥に引っ込んだ。暗く人気のない寺院の中ということもあって、なんだかホラー映画の世界に入ったような気がした。 山門を出て、輪袈裟を外し数珠などもしまい、ここで打ち止めとする。 17時、出発。 ■出発地にはすぐに到着常滑駅有料パーキング(17:20/4.3km/累計39.6km) 薄暗い道を、一路駐車場目指して走る。幸い、かなり近くまで来ていたので、20分ほどで常滑駅の駐車場に到着することができた。今回の駐車場の選定は正解だといえるだろう。しかし、次回はどうなることやら。 自転車をばらして積み込み、エアコンをつけるとホッとする。実のところ、夕方から気温も下がり、風も強くなっていて、長袖ジャージにユニクロのウインドブレーカーでは、かなりつらかった。特に距離が短い所では、体を温める間もなく納経なので、体の芯まで冷えそうだった。 自宅に向かう途中、コンビニに寄る。トイレを借りて、ホットコーヒー(微糖)を買って車中で飲む。これが実に旨い。 途中、一部渋滞はあったものの、順調に走り、1時間ほどで自宅着。13の札所を回ったためか、自転車の走行距離は少ない。しかし、いいペースだったような気がする。さて、次は。
|