2006年
2007年
2月12日(73-77・80・81番)
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■思い立って知多へ <07年2月12日>自宅出発(13:25) 当日思いたって知多へ向かった。残る札所が、自宅から気軽に行ける距離になってきたおかげだ。それに次回の四国遍路に出かける前に知多四国は結願するつもりで、いける時に行っておこうと思ったのも大きな動機。さらにもう一つ、新たに購入したロードバイクの慣らし運転の意味合いもあった。この辺は、動機が不純ではある。 この日は疲れていたので寝坊する。その後、用事などを片付けて出かけたのは午後1時25分だった。 今までMTB(マウンテンバイク)で何回も走った道を、今回はロードバイクで走る。段差が苦手な自転車なので、歩道は危険な所など最小限に抑え、ひたすら車道を走る。途中、やはりロードバイクとすれ違う。軽く会釈をすると、向こうも頭を下げた。 1時間少々走るが、どうも道が違う。ちょうどコンビニがあったので、携行食のアンパンを一つ買うついでに、目印となる佐布里(そうり)池の場所を尋ねた。店員さんは他の店員さんと相談していある。話がなかなかまとまらない。とんでもないことでも聞いたのだろうかと心配になったころで、ようやく結論が出た。場所はそれほど遠くないが、説明しづらかったらしい。「寺本」という最寄駅を確かめ、方向がわかった。少し引き返すことになる。 途中、人に聞きながら走る。3時近くなって、食堂などが何軒かある地域に差し掛かった。途端、腹が減っていたのに気づいた。ちょうど目に入った讃岐うどんの看板を見て店に飛び込んだ。 ヘルメットを抱えて席につき、力うどん750円を注文する。お茶を飲んで一息つき、メニューなどを眺めていると、隣に座っていたご夫婦の、ご主人が声をかけてきた。 「どちらから?」 年恰好は僕と同じくらい、いや、ちょっと若いかな。大学生の息子さんと一緒に、自転車で能登や伊豆を走られたとか。ご主人はもともと登山などが好きで、息子さんが自転車が好きでサイクリングに行くのに、ご主人が付き合うようになったらしい。やっぱり自転車はブームなのだろうか。 しばらく話してからご夫婦は席を立ち、僕は揚げた餅が3つ入った力うどんを食べた。讃岐うどんの割には、高くて味が濃いと思う。 先ほどのご夫婦がちょうど佐布里池からの帰りだったので、詳しい道を聞くことができたのはラッキーだった。そのうどん屋の近くから、パークロードという遊歩道が佐布里池まで伸びていた。今回の最初の目標、七十三番〜七十七番まで固まっている地域はその途中にある。 パークロードは遊歩道なのでスピードを出すわけには行かないが、その横は農道となっているので、20〜25km/hぐらいでは走ることができる。気持ちよく走っていたら、佐布里池についてしまった。また行き過ぎた。あわてて戻る。 ■5つの札所をまとめて回る第七十四番霊場「密厳寺」(15:50/31.5km/累計31.5km) 第七十三番霊場「正法院」第七十五番霊場「誕生堂」第七十六番霊場「如意寺」第七十七番霊場「浄蓮寺」
まずは前回打ち止めにした七十四番密厳寺に向かう。今日はこの地区でお祭でもあったのか、どのお寺も人が多い。密厳寺もちょうどお祭が終わった直後のようで、何人かの人がポットなどを片づけていた。 なんとなくざわついた雰囲気の中でお参りする。近くでお庫裏さんが集まった人と話をしている。ちょっと気まずかったが納経をせず、そのまま七十三番に向かう。 また間違えて七十七番に行き、もう一度地図を見直して七十三番へ。ここもちょっとざわついていたが、すぐに静かになった。お参りをして納経所へ。すると七十五番と七十六番にも朱印を押してくれる。師崎の三十二番札所が、三十番、三十一番の納経も行っていたのと同じ事情らしい。
3ヵ寺分の納経料300円を払うと、納経してくれたお庫裏さんらしい女性は納経料を受け取ると、「お参りしていってくださいね」と言った。あえて言うところを見ると、お参りする人は少ないのかも。何せ、弘法堂の前で一礼して、納経所に直行、という人がけっこう多い。いや、団体を除いてほとんどがこのスタイルだ。 これは不信心なのではなく、参拝の方法が徹底していないからだろう。「知多四国霊場、開場200周年」のポスターは各札所で見かけるが、納経方法を記したものは見かけた記憶がない。かろうじて1番の納経所で、尋ねたら教えてくれたぐらいのものだ。もっとも四国でも、1番の売店でパンフレットをもらった(買わされた?)程度だが、書籍やネットなどで納経の方法は啓蒙されている。またお遍路同士、教えあうというのもある。その意味で、情報がまだ不足のような気がする。 確かに知多四国は全体にゆるい。線香の本数も決まりはないし、駐車場から納経所に直行しても、文句を言われることはまずない。しかし、これでいいのだろうか? いや、真面目に参拝しろ、という事もあるが、参拝する側も、きちんと手順どおり参拝した方が気持ちがいいのではないだろうか。納経所へ直行するよりも、参拝したという満足感は大きいと思う。 ゆるさを優先することで、こうした一番大切な巡拝の満足感の醸成が、スポイルされているような気がする。参拝する人も、手を抜きたい人ばかりではないはずだ。逆に、こうした宗教的な充実感を体験した人が熱心なリピーターになって、知多四国を盛り上げてくれるのではないだろうか。少なくとも四国はそんなモデルができている。 七十五番誕生堂は、七十三番正法院のすぐ脇の石段の上にある。陽の光を浴びて、明るい雰囲気だ。言われたとおり、開経偈から回向文まで、きちんとお経をあげる。ちなみに知多四国では、開経偈は不要で、懺悔文から始まる。経本もそうなっている。なぜだろう。
次いで七十六番如意寺へ向かう。如意寺はちょっと離れた所にある。しかし無住の札所とは思えないほど、きれいに手入れされている。ここでもきちんと参拝をする。
最後は七十七番浄蓮寺。ここもお祭の名残が感じられる。なぜか写真を撮り忘れる。 16時50分、出発。 ■打ち止めと思ったのだが・・・。第八十番霊場「栖光院」(17:02/1.2km/累計32.7km) 2月中の納経時間は午後5時まで。浄蓮寺を打ち終わった段階で、打ち止めと思ったが、次回またここまで来るのも間が抜けているので、無理してもう一ヵ寺、打つことにする。ぎりぎりの時間だが。 次は、順打ちとしては七十八番福生寺になるが、順路としては八十番の栖光院が近い。一路、栖光院を目指して走る。途中、ちょっとうろうろしたが、なんとか辿り着く。時間はぎりぎり、というか微妙にオーバーしている。それでも自転車を担いで山門をくぐり、納経所へ。
反則だが、先に納経をお願いする。ご住職が納経してくれる。「これからお参りするのですが、先にご朱印をお願いしてもいいですか?」「どうぞどうぞ」というわけで、納経をお願いする。納経が終わっても、窓は開けっ放し。普通は寒かったりするので、すぐに窓を閉めるのだが、このご住職はにこにこしながら窓を開けたままにしている。「寒いですから、窓を閉めてください」「はいはい」といいながら、ご住職は窓を閉めようとしない。仕方がないので、とりあえず石段を上がったところにある本堂と弘法堂にお参りする。いい雰囲気だ。やはり札所には石段がよく似合う。
参拝を終えて戻ると、ご住職はまだ窓を開けたまま、座っている。恐縮して、「ありがとうございました」とお礼を言って出ようとすると「次の八十一番はすぐだから、回っておいた方がいいよ」と言ってくれる。「いや、もう5時を過ぎていますから、次回にしますよ」というと「いや大丈夫。行ってみなさい」と言う。そう言われたら、イヤだとはいえない。早速八十一番龍蔵寺に向かう。もちろん七十八番、七十九番は打ち終わっていないなどとは言えないので、黙っていた。 17時10分、出発。 ■今度こそ打ち止め。第八十一番霊場「龍蔵寺」(17:15/1.2km/累計33.9km) 栖光院のご住職に言われたとおり、山門前の巨大な楠を左に折れて、さらにもう一度左折し、県道に出る。しばらく走ると、知多四国霊場の白い幟が見えてきた。八十一番龍蔵寺だ。
お経をあげようと弘法堂の前に立つと、ご住職が戸締りをするところだった。 「すいません、ちょっと遅いのですが、お参りしてもいいでしょうか?」と尋ねると、ご住職は「ああ、いいですよ。暗くなると用心が悪いので、早めに戸締りしようとしただけですから」と気持ちよく弘法堂の格子戸を開けてくれた。 お参りを終えて納経所に行くと、ご住職が座って待っていてくれた。にこやかに朱印を押してくれて「ご苦労様」といって納経帳を返してくれる。お礼を言って、受け取る。
自転車の所に戻り、バッグパックに輪袈裟と数珠をしまう。あたりはそろそろ黄昏色に染まりだした。 17時25分、出発。 ■夜道は疲れる。自宅(18:42/24.4km/累計58.3km) 走っているうちに、日がとっぷり暮れてきた。ふと気がつくと、まだサングラスをしていた。あわててメガネと換える。なんだ、まだ真っ暗ではないんだ。 日が多少長くなったとはいえまだ2月、すぐに本当に夜になった。慣れない自転車で気は疲れるが、体は思ったより楽だ。ロードなので歩道に逃げるのは難しい。無理して車道を走る。これが精神的に疲れる。自分が自動車を運転している立場だと、左端で自転車にちょろちょろされていると気になる。自転車のライダーとして気を使い、バーチャル・ドライバーとしても気を使うので二重に疲れた。それこそ余計な苦労だが。 途中、コンビニに寄ってエネルギー補給。饅頭などがいいらしいが、僕は腹に落ち着くおにぎりの方が好きだ。一応低インシュリンを意識して、発芽玄米のおにぎりを買って食べる。美味しい。 そこからあとは、淡々と走る。体も軽く、いいペースで走れる。そして帰宅。 クラウチングスタイルで走っているので窮屈だったが、思ったより疲れは少ない。長距離を走るのはロードバイクもいいかもしれない。
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