2005年夏
2006年春
5月1日(37番)
2007年春
2007年冬
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■七子峠のアイスクリン七子峠(11:00) 朝6時起床。6時半朝食。朝食は夕食ほど豪華ではなく、普通の民宿なみだった。同宿の車遍路のご夫婦とちょっと話す。しかし、何だか話がかまない。 7時出発。 今日は半袖ジャージにアームウォーマーで走る。アームウォーマーは、冬のマラソンで選手が腕に着けている、袖だけの布。軽くて温かいし、取り外しも簡単なので普段から重宝している。手袋は指先の切れた黒いものを使用しているから、ちょっと見、黒い手甲を着けているようだ。自転車で走り始めて5年目、知識も増えるが物も増える。 宿を出てちょっと走ると、昨日のたこ焼きお遍路を追い越す。 昨日渡った宇佐大橋をまた渡り、県道23号を岩本寺に向かって進む。海岸に沿って走る道は、朝と言うこともあって気持ちがいい。ただ海沿いなので風が強い。向かい風の時は、なかなか前に進まず苦労する。30分ほど走ったら体が温まってきたので、アームウォーマーを外す。ついでに日焼け止めを塗る。 やがて道は海を離れて内陸部に入っていく。全体に車の通行量も少なく、走りやすい。山の中に、大きなセメント工場が見える。そこを通り越して、高知自動車道にかかる陸橋を渡ると、前方にヘルメットをかぶった自転車乗りの姿が見えた。後ろから見ているとペダリングが不安定だ。スピードも遅い。 追いついてみる。まだ20代の男性だ。サイクリング用のフラットバーロードに乗っている。 しばらく走ると安和の町に入る。喫茶店が見えてきた。その前で自転車を停めて、後続の若いサイクリスト君を待つ。追いついてきたところを停めて、喫茶店で休もうと誘うが、断られてしまった。 今日の目的地は、足摺岬の先だという。大丈夫かなぁ。話の流れで、ケイデンス(ペダルの回転数)の相談を受ける。膝のためにはなるべく軽いギヤで、回転数を上げるようにしたら、とアドバイスをする。人に走り方を教えるなんて、10年早いのだが。 若いサイクリスト君と別れて、一人で喫茶店へ入る。9時20分。まだモーニングの時間だ。500円でモーニングを頼む。アイスコーヒーにトースト、サラダ、玉子がついている。美味しく食べる。30分ほどでスタート。 このあたりから国道56号に入る。まずは焼坂トンネルをクリア。このあたりは序の口だ。道は緩やかに登り続ける。へばるほどではないが、楽ではない。 久礼第1トンネルをくぐる。久礼は、昔「漫画アクション」に連載されていた「土佐の一本釣り」(青柳裕介)の舞台になったところだ。この漫画、特に面白くも斬新でもなかったが、なんとなく目を通さずにはいられない作品だった。久礼漁港も一度見てみたいと思ったが、道は町の上を通っている。町まで降りて、また登る気はしないので、そのまま通り過ぎる。 とくに休むこともなく、ペダルを踏み続ける。いくつかトンネルを通り抜けるてしばらく走ると、目の前に峠道が延びている。ここで一休み。目の前に延々と続く上り坂を見ると、ちょっと気力がなえる。2〜3分ほど脚を休め、気をとりなおしてスタート。
ここから本格的な登りになる。ところどころで休みながらもペダルを踏む。しばらく登っていくと、反対車線の車の待避所に、アイスクリン売りのおばさんがいる。休憩がてら寄って見る。 晴れわったって温度も上がってきたせいか、次々に車が停まる。僕も一つ買い、その場で食べる。何でもここで40年、アイスクリンを売っているそうだ。おばさんと話していると、セルシオに乗ってきた男性も話しに加わる。口髭をたくわえた、久礼の網元、といった風情の人だ。 坂はまだまだ続く。いくつか短いトンネルをくぐる。傾斜はそれほど急ではないが、ひたすら登り続けるのがつらい。ただ、午前中で体も疲れていないこともあって、あまりきついという感じはない。 走り出して2時間近く、11時に標高287mの七子峠をクリア。うーん、きつくないわけだ。そんなに高くない。 道は一転、下りとなる。 ■尼さんが納経をしてくれる三十七番霊場「岩本寺」(11:45/本日42.2km/累計115.1km) 国道56号にそって、気持ちよく下る。気温も上がってきており、風が気持ちいい。 やがて岩本寺の示す看板が見える。スーパーマーケットの角を、町並みの方に向かって曲がる。窪川はこの地域の中心的な町のようで、スナックの看板なども見える。JR土讃線もここが終点。以降は土佐くろしお鉄道となる。 メインストリートの1本裏通りを走っていくと、左手に岩本寺が見えてきた。山門への入り口脇には、品のいい和菓子屋がある。昔から栄えていた町であることをうかがわせる。
岩本寺は5つのご本尊が納められている。そのためご本尊真言を唱えるのに時間がかかる。しかし人も少なく、ゆっくりとお参りできた。 全体に歴史を感じさせる堂楼伽藍だが、平成20年には本堂改築の計画があるらしい。ちょっともったいない気がする。
ここの納経所では、黒い衣を着た、尼さんが納経してくれた。ご住職の家族とか寺務員さんなど、女性が納経してくれるのは珍しくないが、尼さんの納経は初めのような気がする。知多四国では33番がそうだったが。 12時20分出発。 ■四万十川への道岩本寺から国道に出る角にあるスーパーに入る。それほど空腹というわけでもないが、入って食料品をあさる。結局、おにぎりを一つ買い、日差しがきつかったため、建物の陰で食べる。 今日の札所は岩本寺だけ。ただ走るだけの日だ。それもいいのだが、気分にメリハリがつかない。歩きなら、こんな状態が2〜3日続くこともあるのだから、文句は言えないが。 そんな時、ちょっとヘンなものを発見した。カーブに取り付けられた警報ランプ。ブラインドコーナーから対向車が走ってくると、ランプが赤くなる。対向車がないときは青。親切といえば親切だが・・・。あきれたついでに写真を撮る。
その後は、多少のアップダウンはあったが、快調に走る。何人か歩きのお遍路を追い越す。そのうちの若いお遍路と、ちょっと話をする。野宿中心に、たまに宿、というパターンで回っているとか。お互いに「頑張ってください」と言って先行する。 疲れているときに、人と話をするとなぜか元気が回復する。ただ休むだけより効果があるようだ。この時初めて気がついた。それこそ気のせいかもしれないが。 とある集落近くを走っていたら、道路の脇にかきつばたが植えられていた。老人会の活動のようだ。紫が色鮮やかなので、ひと時脚を止めて眺める。実は僕が卒業した高校の校章もかきつばた。こちらは全然好きではなかった。
1時間ほど走った。休憩ポイントを、地図に載っているレストランフレンドとする。丘を登った所でレストランフレンドを発見。しかし閉まっていた。入り口のガラス戸に「病気療養中のため休業します」といった内容の紙が貼られていた。 仕方がないので、近くにあるコンビニに目標を切り替える。こちらはちゃんとやっていた。おにぎりでも食べようかと思うが、毎度おにぎりも飽きる。と、隣に喫茶店があるのに気がついた。四国もこの辺りになると、店もコンビニも多くて助かる。 喫茶店に入ると、ママさんが暇そうにしていた。2時頃だから、ちょうど暇な時間なのだろう。アイスコーヒーとミックスサンドを頼む。食べながらママさんと話す。ご主人も最近自転車に凝り始めて、先週もマウンテンバイクで中村方面まで走ってきたとか。そのうち地元の景気の話になって、漁業も土建業も景気が悪く、若い人の働く場所がない。そ-のため、若い人は中村の方に出ていってしまう、などという話を聞いた。 30分ほど休んで、2時45分出発。出がけにママさんが しばらく走ると、左手の海岸に沿って、大きな公園が広がる。「佐賀公園」。喫茶店のママさん言っていた公園だ。起伏にとんだ広大な園内には、花や樹木も美しく配置され、手入れも行き届いている。しかし、誰もいない、まったく無人の空間である。先ほどの地域経済の話から思うに、この公園、利用するためのものではなく、造ることに意味があったのかもしれない。 道はさらに海岸沿いに続く。「白浜海岸」と看板が出ている。紀州の白浜には行ったことはないが、ここの白浜は岩だらけの浜が続く。このあたりでも何人かの歩きのお遍路を追い抜く。白衣の女性2人と、普通のバックパック姿の若い男性1人の3人連れが印象に残った。追い抜きざま挨拶すると、若い男性がボディーガードのようにきっと目を向ける。そんなに怪しげかなぁ。しかし白衣着てナンパなんてしないだろ、普通・・・。
大方町から道は分かれる。このまま国道56号を走るか、海沿いに県道42号を走るルートにするか。後から考えれば56号をそのまま走ればよかったのだが、坂が少なそうな県道を選ぶ。おかげで随分遠回りをしてしまった。 途中で一休み。そのあたりまでは道路も歩道も広く、ゆっくり休める。靴も靴下も脱いで、地面に座り込む。は〜、気持ちいい。10分ほど脚を伸ばす。
そこからけっこうアップダウンがあり、道も細くなった。最後はへんろマークを頼りに、急がず田んぼの中を走る。道を聞きながら、マークを確認しながら走ると、四万十大橋に出た。本来ならまっすぐ渡るところだが、今日の宿はここから少し上流になる。川沿いの道を、中村目指して遡る。 ■四万十川に到達コスコ・ビジネス&リゾート(17:20/本日111.0km/累計168.3km) そろそろ夕暮れも迫り、雲も出てきたので、期待していた四万十川らしさは感じられなかった。 徐々に交通量が増え、道幅も広くなってきた。中村の市街に入ったようだ。宿はすぐにわかった。モダンな造りのビジネスホテルだ。自転車を停め、フロントのある2階に上がる。若い男女のフロントマンがいる。どちらも一生懸命で気持ちがいい。そこで鍵をもらい、部屋に入る。 くつろぐ前に、まず買出しと洗濯だ。どちらもフロントに聞く。コンビニは歩いて数分。コインランドリーは自転車で数分の距離にあるという。まず、コンビニに行き、明日の朝食のサンドイッチと牛乳を買う。次いで洗濯物を持ってコインランドリーに出かける。 これがなかなか見つからない。聞きながら行くと、ショッピングセンターの駐車場の奥に、隠れるようにあった。さて、と思って料金を見ると、洗い500円、乾燥10分100円となっている。ちょっと高いなぁ。機械は大型のようで、布団なども洗えると書いてある。もったいないので、洗濯を諦めてホテルに戻る。 フロントでその話をすると、男性のフロントマンが 大浴場で風呂に入ってゆっくりした後、食堂で夕食。トンカツ定食1050円に生ビール550円。つまみに鰯の香梅煮210円。普段飲まないのに、走ったあとの食事では、やっぱり飲んでしまう。うまい。 部屋に戻り、テレビをちょっと見て就寝。
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