2005年夏
2006年春
5月5日(46〜51番・復路)
2007年春
2007年冬
|
■朝のすがすがしい気分で参拝四十六番霊場「浄瑠璃寺」(06:50/本日 -km/累計 509.9km) 昨日の緊張の名残か、6時前には目が覚めてしまう。身支度をして、6時半に食堂へ。既に食堂は満員状態。100人以上いるだろうか。こんな大人数での朝食は久しぶりだ。半分くらいがお遍路かな?歩きの人は、たぶん既に出発しているだろうから、バスや車のお遍路だろう。 ロビーに荷物を置かせてもらって、目の前にある浄瑠璃寺へ歩いて向かう。 規模は小さいが、緑の多いお寺だ。早朝ということもあり、清々しい。ゆっくりお参りをする。考えてみれば、7時前に参拝したのは初めてだ。
宿に荷物を取りに戻り、あらためて7時30分、自転車に乗って出発。 ■新しく、瀟洒な札所四十七番霊場「八坂寺」(07:35/本日 1.0km/累計 510.9km) 浄瑠璃寺の前の道を、松山方面に走る。 案内看板に従って、左に曲がると八坂寺があった。やはり小ぢんまりした札所だ。幔幕(?)というのか、色とりどりの幕が本堂を囲んでいて、にぎにぎしい雰囲気だ。
本堂も大師堂も、まだ新しい。納経所も含めて感じのいい札所だった。ここで、アイスクリン売りのおばちゃんが言っていた、椎の花を間近に見ることがで来た。
8時5分、出発。 ■集中力が切れてきた四十八番霊場「西林寺」(08:15/本日 6.1km/累計 516.0km) この日は前日の疲れをひきずり、さらに睡眠不足も重なって、読経していても集中できない。ふと帰りの列車のことなどを考えてしまう。集中力が完全に切れている。 言い訳が長いが、別格9番の文殊院を素通りしてしまった。札所の中に、白衣のお遍路の姿を見たのだが、ぼーっとしたままペダルを踏む。気がついたのは西林寺に着いてからだ。戻ろうと思えばわずかな距離なのだが、気力がわかない。情けない。特に別格は回っていないが、通り道にあれば寄ろうというスタンスだったのだが。 朝は歩きのお遍路をたくさん見かける。スタートがほぼ一緒だからだろう。久谷大橋を渡ったときも、数人のお遍路を追い抜いた。橋をわたるとすぐに西林寺だ。
平地にある札所は、やはり親しみやすい。アプローチが楽なせいだろう。駐車場に自転車を停め参拝。浄瑠璃寺、八坂寺に比べると規模は大きい。堂宇もかなり年月を経ている。
寺内にはまだ団体は見えず、歩きのお遍路の姿がめだつ。リュックがいくつか置かれていた。そういえば、頭を青く剃り上げた女性のお遍路の姿もみかけた。多分女性だったと思うが、さすがにまじまじとは見なかったので、真偽の程は定かではない。 自転車に乗ろうとすると、横に自転車のお遍路が停まった。僕よりちょっと若いか同年輩くらい。テスタッチの自転車に乗っていた。僕のようなミーハーではなく、通の乗る自転車だ。 彼は逆打ちで回っていて、今日は三坂峠にアタックするという。三坂峠よりも真弓トンネルが、などと話して後で気がついた。逆打ちで回れば、どう考えても三坂峠の方が厳しいだろう。すっかりぼけている。 8時45分、出発。 ■だんだん混みだしてきた四十九番霊場「浄土寺」(09:00/本日 9.1km/累計 519.0km) 鷹ノ子温泉近くをかすめ、ゆっくり自転車を漕ぐ。泉質は道後温泉もしのぐ、という話をWebで見ていたので、スケジュールが合えば一度入ってみたかった温泉だ。残念ながら、時間が合わなかった。 県道からちょっと入ったところにある浄土寺。市街地にあるため、県道を横切るのも一苦労するほど、交通量が多い。 浄土寺も西林寺に劣らず、歴史を感じさせる。寺内も広い。ただ残念なのは、地面がむき出しなこと。浄土寺以上に、殺風景な印象を受ける。昭和30年代当時の、小学校のグラウンドを思い出してしまった。あと、トイレは清潔だったが、男女入り口は別なのに、入ると一緒、という造りはご愛嬌。
参拝を終えて納経所へ行くと、混んでいる。団体というより、一人でいろんなものを持ち込む人が多い。しかし今日は先を急ぐわけではなし、平静に列に並ぶ。平静というよりは、ぼんやりと、といった方が当たってる。 9時30分出発。 ■意外や中は静かだった五十番霊場「繁多寺」(09:45/本日 --km/累計 ----km 計測忘れ) 繁多寺めざし、県道を走る。ところどころ広い箇所もあるのだが、概ね狭く、自動車に脅かされながら走る。まあ、こちらは好きで走っているから仕方ないのだが、杖がわりの乳母車を押したお婆さんが立ち往々しているのを見ると、気の毒になる。 途中で県道を走るのを諦め、地図を見て、遍路道に入る。多少アップダウンはあるものの、静かで走りやすい。墓場を通り抜けてしばらく走るとT字路にぶつかる。繁多寺の入り口だ。アイスクリン売りのおじさんが、あっちあっちという風に方向を教えてくれる。 この札所も趣があり、割と好きな感じだった。しかし、あまり印象に残っていない。なんか惰性で走って、惰性で参拝している気がしてきた。メーターのチェックも忘れるし。そろそろ潮時かも。
10時15分、出発。 ■さすが道後温泉にある札所五十一番霊場「石手寺」(10:35/本日 14.7km/累計 524.6km) 知らなかったが、石手寺は道後温泉の近くにあった。ほんとうに街中のお寺だ。そのためか観光客も多い。逆に白衣を着たお遍路はあまり目立たない。 中に入ると、ミニアーケードがあり、両側に小さな店が並ぶ。台湾とか香港の寺院のようだ。 寺内の中央では、テントを張って甘茶のお接待があった。山門脇の看板によると、5月5日は花祭りだそうだ。ありがたく甘茶をいただく。甘いような苦いような不思議な味だ。考えてみれば、甘茶を飲んだのは生まれて初めてかもしれない。周囲は縁日のように、人でにぎわっている。
しかし本堂や大師堂にお参りする人はわずかだ。おかげで、集中力がないままだが、ゆっくり参拝した。納経所も空いていた。参拝を終えると、先ほど通り過ぎた小さな店を冷やかす。アジアのお寺のような雑多なものは、当然おいてない。占いの客引きもない。 やっぱり、ここいらが潮時のようだ。先ほど大師堂にお参りしたときも、なんとはなしに区切りのご挨拶をしてしまっていたし。太山寺は次回に回そう。 11時10分出発。松山駅を目指す。 ■とりあえずチケットをゲット。松山駅(13:05/本日 19.7km/累計 529.6km) 石手寺の前でひと息ついて、地図を眺める。道後温泉にも行こうと思えば行けるのだが、子供の頃から風呂と床屋は嫌いなので、通り過ぎることにする。 旅館街から電車通りに出たところで、喫茶店を発見。昼食をとることにする。ビルの2階にあり、入ると陶器などが飾ってあったりする上品な雰囲気の店だった。ママさん一人の店だ。ここで白衣を脱ぎ、バッグにしまった。 「カレーならできます」とのことなので、カレーとアイスコーヒーを頼む。800円。カレーはなかなか美味だった。まさかこんな品のいい喫茶店にはないだろうなと思って探してみたら、やっぱりあった。「サラリーマン金太郎」。続きの1冊を読む。 50分ほど喫茶店で滞留。もう動きたくない。が、帰らねばならぬ。出掛けに松山駅までの道をたずねる。するとお客の女性が、丁寧に地図を書いて教えてくれた。わりとわかりやすい道だ。 日差しの照りつける松山の街を、自転車で駅を目指す。途中、松山城のお堀端を通る。子規の「春や昔 十五万石の 城下哉」を思い出す。まともには読んだことはないが、子規、啄木、寺山修二の歌は心惹かれるものがある。 15分ほど走ると、松山駅が見えてきた。ここも高知駅と同じで横断歩道が少なく、駅にアプローチするために大回りする。自転車は歩道橋を渡れないし、車椅子はもっと大変だと思うが。 駅の駐輪場に入り、管理人のおやじさんの指示で自転車を停める。まずはチケットの確保だ。「みどりの窓口」は比較的空いていた。5分ほどで受付。次の列車が空いていたが、あと20分ほどしかない。自転車をばらしているとちょっと厳しいかも。もう1時間後の列車に予約を変更する。その後は満員らしい。 駐輪場に戻り、自転車をばらす。出がけに手こずったペダルも簡単に外れる。このためにわざわざ300gもあるペダルレンチを持参したのに、拍子抜けだ。15分ほどで収納完了。発車まで1時間以上ある。駅前のバスターミナルのベンチでお茶など飲みながら時間をつぶす。 発車20分前にホームへ。すぐに列車は来た。列車はまだ空いていたので、自転車の置き場所は難なく確保できた。うれしい。こればかりは自転車じゃないと、わからないだろうな。定刻どおり列車は出発。停まる駅ごとに乗客が増え、最後は立っている人も。そんな状態ながら、順調に岡山に着く。ここで乗り換えまで30分待ち。弁当などを買う。 のぞみが満員なのでひかりのチケットを取ったのだが、これが正解。ひかりは岡山発だった。おかげで、今回も自転車置き場を簡単に確保できた。 ただこのひかり、名古屋までは各駅停車。岡山から2時間半もかかった。普通、これはこだまというんじゃなかろうか。 ともあれ8時半過ぎ、無事名古屋着。今回も不精をして、タクシーを利用して帰る。 こうして、3回目の自転車遍路は終わった。 ●今回の旅程
|