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4月30日(65〜66番)
2007年冬
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●4月30日■国道11号をひた走る「温泉旅館京屋支店」出発
朝5時30分起き。朝食は6時からで、昨夜の山口からのご夫婦とまた一緒になる。清算をしにフロントに行くと、昨晩、風呂でご一緒した男性がいた。なぜか何事もなかったように淡々と清算し、お礼を言って失礼した。 6時35分出発。 坂を下って国道11号に出る。そこからクルマに混じってひたすら走る。だんだん日差しが強くなる。1時間半ほど走って、10分ほど休憩。ついでに日焼け止めを塗る。腕は真っ赤だ。今日はまず三角寺が目標だが、途中に別格12番の延命寺がある。せっかくなので寄ることにする。 ■なぜか別格札所は感じがいい別格十二番霊場「延命寺」(08:45/当日34.4km/累計170.8km) 別格12番延命寺は、国道から少し入ったところにある、小ぢんまりとした札所だった。緑が多く、その中にツツジが鮮やかな色で咲いていた。休憩もかねてゆっくりお参りをする。
僕の他にもう一人、若い男性が参拝していた。お参りが終わって挨拶がてら、声をかけた。東京から来て今日で2日目とか。まだお経も自信無げだで声も小さい。最初の頃の僕と同じだ。もっとも今でも、人様に聞いていただけるようなものではないが。 納経所は大師堂の中にある。納経ついでに数珠球を買う。これでやっと3つ目だ。数珠が作れるのは、だいぶ先になりそうだ。しかし別格の札所は総じて対応がいい。延命寺のご住職も、にこやかに対応してくれる。 9時8分出発。 ■思ったほどハードではないが・・・六十五番霊場「三角寺」(11:25/当日54.5km/累計190.9km) 再び国道11号を走る。道はやがて伊予三島の市街地に入っていく。そろそろ山側に曲がる頃だと思い、通りがかったおばあちゃんに道を尋ねた。70過ぎのお歳のようだったが、随分しっかりしていて、きちんと道を教えてくれた。 「昔は三角寺へも歩いてよく行ったもんやけど、いまはもう行けんわ」と言うが、いやいやしっかりされています。 そこから少し行ったあたりで、大きなスポーツ用品店の前に自販機が並んでいた。ここで小休止。10時だ。四国に来て初めてのコーヒーを飲む。掃除をしていたスポーツ用品店の女性とちょっと話す。といっても何を話したのか忘れてしまったが。 そこからゆるやかな坂を進む。やがて市街地を抜け、住宅街に入る。三島公園、戸川公園と公園が続く。しばらく行くと、道路工事で迂回路を通る。
これがいいのか悪いのかよく判らないが、とにかくペダルを踏み続ける。やがて道は山道になる。ここで疲れたので、しばらく自転車を押す。ちょっとなだらかな坂になると乗る。これを繰り返したが、しばらくすると、なんとか降りずに乗っていける。緩やかな坂が続いている。
急に下り坂になったかと思ったら、三角寺の山門に続く石段の下だった。「思ったよりは」楽だった。 自転車を停め、一息ついていると、写真を撮っている、ちょっと年輩の歩きの男性お遍路が居た。「シャッター押しましょうか?」と声をかけたら、「いや、いいよ。それより、撮ってあげるよ」と言われ、逆にシャッターを押してもらった。
自転車にカギをかけて、石段を上る。と、前を歩いていた若い女性が振り返って手を振る。目のくりくりっとした女性だ。どこかで見かけた人だと思ったら、仙遊寺で一緒だった、大阪から来た女性のお遍路だ。人の顔を覚えるのが大の苦手なので、思い出すにも時間がかかる。 「早いねー」と声をかけると、途中で老夫婦のタクシーに乗せていただいたとのこと。あの時のメンバーも、だいぶバラけているようだ。しかしこの3人を見ていると、本当の親子のように労わりあっていて、ほのぼのとした情景だった。思わず写真を撮ってしまった。 登るのは辛いが、山の上の札所はやはりいい。三角寺も森閑とした佇まいで、できたらゆっくり寝そべって、ずっとこの場の空気に触れていたいような気分になる。そんなわけには行かないが、いつかはそんな回り方ができるのだろうか。それとも、そうなると遍路ではなくなってしまうのかな。
12時2分、出発。 ■雲辺寺は遠かった人気のないドライブインで昼食(13:30/当日75.1km/累計211.5km) 下りはさすがに楽だ。多少のアップダウンはあるが、基本的にはブレーキを握り締めて降りる。山を降りて農地に差し掛かった所で、年輩の女性に道を尋ねる。ジャスコを目印に行けと教わる。その言葉に従ってジャスコまでたどりついたが、そこから道がよく判らなくなった。 次の雲辺寺はロープウェイでクリアする予定なので、まずは国道11号に出ることにする。しかし、これがなかなか見つからない。うろうろ走っているうちに、観音寺の商店街に紛れ込んでしまう。けっこう時間をロスしている。 迷いながらも、なんとか11号に出る。あとは道なりに走る。やがて愛媛県から香川県へと入る。そろそろ何か食べたいが、付近にはあまり食べる所が見当たらない。
反対側に食堂があるのだが、クルマの通行が激しくて渡れないとか、いろいろあって、とにかく食事できそうな所に迷わず入ることにした。そして、あった。大きなドライブインだ。自転車を停めて中に入る。中は家具とかインテリア民芸品が所狭しと置かれている。奥に入ると、ようやく食堂のようなコーナーがあった。やれやれ、やっと食事にありつける。しかし客は誰もいない。600円の定食を頼む。ちょっと外したかもしれない。 14時出発。 ■今回はロープウェイ遍路六十六番霊場「雲辺寺」(15:38/当日86.3km/累計222.7km) 道路の案内標識を頼りに走る。途中、尋ねたりしたが、だいたい正しい方向へ進むことができた。そしてロープウェイへのアプローチに入る。いきなりハードな坂のお出迎えで、思わず押して歩く。その後も、乗ったり押したりの繰り返しだ。 それほどきつい坂でもないのだが、三角寺で坂と格闘した後遺症が残っていて、なかなか厳しい。1時間ほど乗ったり押したりして、ようやくロープウェイの乗り場に辿り着く。ここは思ったよりきつかった。記憶もちょっととび気味ではある。 15時40分発のロープウェイに搭乗。雲辺寺着15時43分。ロープウェイの中の案内放送では「雲辺寺は、その高いことから西の高野山とも呼ばれています」と言っている。まてよ。これは太龍寺のロープウェイでも同じ台詞を聞いたような気がする。どちらも同じ会社の経営だったっけ。
雲辺寺の駅に着き、まず、アイスクリームを買って食べる。美味しい。落ち着いたところで参拝する。自転車は駅近くに置いておく。帰りの算段がまだ立っていないためだ。 人心地ついたところで、ロープウェイの駅で下りの道を聞く。クルマでもよく走るのだろう、コピーした手描き地図をくれて、細かく教えてくれた。ただ、ロープウェイの方が安心だという言い方をする。別に商売に徹しているわけではなくて、自転車で走ることが危ないと思っている様子だ。 その気分に乗せられて思わず帰りの切符を買いそうになった。しかしそれでは、何のために自転車を上げたのかわからない。落ち着いて考えて、やはり自転車で下りることにした。 本堂、大師堂を参拝する。その後、もらった地図を確認して下りる準備をする。かなり冷えてきたのでウィンドブレーカーを着て、一路道を下る。
16時17分出発。 ■トラブルは突然やってくる遠いホテルにチェックイン(19:00/当日116.3km/累計252.7km) 道は一部荒れていたが、太龍寺ほどではない。また斜度もそれほど厳しくない。僕の自転車のカンチブレーキでもなんとか耐えられる。どちらかといえば、淡々と降りていく感じだ。高度によって多少景色は変わるが、道も整備されていて、あまり不安はない。
そのため、時速40km程度で軽快に下る。その分、かなり振動もきている。坂を降り切り、ロープウェイの駅を通りすぎたあたりで、突然自転車の後輪あたりから、何か擦るような音がして、車体も振動し始めた。 まずいなあ、ディレーラーのトラブルか。チェーン切れなら対応できるが、ディレーラーのトラブルならお手上げだ。ちょっとあせる。ちょうど通りがかった人に、近くの自転車屋の場所を聞く。オヤジさんはちょっと及び腰で教えてくれた。連れて行くような成り行きを警戒したのだろう。さすがにそこまで甘える根性はない。とにかく、だいぶ遠いことはわかった。 そうとなればなんとか自力更生を図るしかない。自転車を停めて、いじっているうちに原因が判明した。フェンダー(泥除け)を固定していたネジが外れて、タイヤとフェンダーが擦れていたのだ。これなら修理は簡単だ。自転車をひっくり返して後輪を外し、フェンダーのボルトを締めなおす。10分ほどで修理完了。よかった、アクセサリー系のトラブルで。 そうこうしているうちに、そろそろ宿をなんとかしないと。近くのホテルや民宿など2軒に電話するが、満員だ。結局、観音寺市駅前のホテルが取れた。明日はそこから大興寺まで往復しないといけない。往復で15km近くあるが仕方がない。 かなり暗くなった頃、ホテルに辿り着く。まずはシャワーを浴びて、食堂へ。豚肉生姜炒め定食1200円を頼み、生中を飲む。文字通り、雲辺寺という大きな山は越えた。 このホテル、「観音寺サニーイン」は、洗濯機は無料で、乾燥機のみ20分100円。フロントの係員も洗濯機が空いたら連絡してくれるなど親切だったし、5700円ならまあ良かったと思う。
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