2005年夏
7月18日(28〜32番・復路)
2006年春
2007年春
2007年冬
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■下手の考え・・・二十八番霊場「大日寺」(7:50/183.4km) 朝6時起床。6時半に朝食。 昨日地図を見て32番「禅師峯寺(ぜんじぶじ)」から回るルートもあるのかと思い、食堂でおかみさんに尋ねてみた。すると「ウチの人に聞いてみます」と言って奥に引っ込んだ。ご主人が出てくるかと思いきや、なんと昨夜の青年が出てきた。どうやら彼がこの宿&レストランのCEOのようだ。 彼はにこやかに、しかしきっぱり28番から回ることを薦めてくれた。32番まで行くのは比較的わかりやすいが、そこから戻るルートが難しいのに加え、そんなルートで回る人はいないので、近所の人に聞いてもわからないだろうとのこと。納得。朝食付き1泊5000円。夕食は食堂(レストラン)で。定食は1000円前後。 詰まらないルートを考えていたおかげで、道を1本間違え、時間をロスしてしまった。「大日寺」手前に「坂本竜馬歴史館」があった。なぜかクラシックカーの博物館と一緒になっていた。 「大日寺」へは、歩き用の参道入り口に自転車を置いて徒歩で上る。といっても階段を100段ほど登るだけだから楽だ。朝のお寺は清浄で静かで気持ちがいい。学生風の若いカップルのお遍路がいるだけだ。自転車に戻ると、横に1台の自転車が止まっていた。荷物を沢山載せた、重装備の自転車だった。
■25巡回った自転車お遍路。二十九番霊場「国分寺」(9:00/199.3km) 地図を見ながら走る。今回新たに取り付けた、マップケース付きフロントバッグはこういうとき便利だ。輪行時にかさばるのが難点だが。 などと調子に乗って走っていたら、途中で道を見失う。どうも地図が読めない男になったらしい。ちょうど鍬を積んだ自転車で通りかかった、近所の人らしい男性に道を尋ねる。男性は何も言わず、そのまま自転車をUターンさせて「こっちへ」と言って、先導してくれる。ちょっと聞くだけのつもりだったので恐縮してしまう。しばらく走るって「国分寺」あたりまで一望にできる場所に出た。 そこで地図を示すように地形を指差し、丁寧に道を説明してくれる。 「国分寺」は庭が美しかった。人も少なく、ゆっくり参拝する。納経を終えて、お寺の前の遍路用品店へ入る。前から欲しかった地図を見つけ、早速購入。店を出ると、80歳近い原付に乗ったおばあさんに話しかけられる。ちょっと話をして、おばあさんは原付に乗って走り去っていった。元気だなぁ。僕も30年後、あれくらい動けるだろうか。 ※ここで買った地図は、善通寺監修の遍路地図である。その後「遍路道保存協力会」の地図を手に入れた。次回からはこの二つを使うことになりそうだ。自転車の横には、先ほど「大日寺」で見かけた自転車が持ち主のお遍路と共にいた。30〜40代くらいだろうか。ちょっと年齢不詳。挨拶をして「先ほど大日寺で自転車お見かけしましたよ」というと、「ああ」と言った風にうなずく。
■札所の噂話も面白い。三十番霊場「善楽寺」(10:40/209.9km) 「国分寺」を出て県道32号の方向へ走る。この時間になると、日差しが強くなってくる。32号に出たところで「道の駅・南国」を発見。小休止することにする。2階にあるカフェでアイスコーヒーを飲む。冷たい水が一番なのだが、そういうわけにもいかない。 ここまで来るのに、国分寺を出た所にある看板の指示どおりに走ってきたのだが、どうやら遠回りの道だったらしい。「歩きは左、車は右」といった感じの案内板だった。自転車の僕はここで悩む。たぶん歩きの道でいいはずだが、時として階段や急坂があったりする。で、この時もなんとなく車の道の方を選んで間違ったわけだ。しかし休憩がとれたのでまあ正解。 30分ほど休んで、1階のIT用品屋さんで道を尋ねる。そこの店員さん(オーナー?)は道を丁寧に教えてくれると、「実は30番はもう一つあってな」と話し出した。「善楽寺」と、今は30番奥の院になっている「安楽寺」との30番札所争奪の顛末を聞かせてもらう。まるでご近所の噂話を聞くようで面白い。 道はわかりやすく、暑さを除けば比較的楽だ。適度にアップダウンもあって走りやすい。一番の難所は逢坂峠だが、それも普段通勤で走っている坂に毛の生えたようなものなので、気分的にもかなり楽だ。その逢坂峠をえっちらおっちら登っていると、横を白衣を着たバイクのお遍路数台が追い抜いていった。バイク遍路は初めて見る。 峠を越えて気が緩んだのか、「善楽寺」へ入る坂でギアを入れ間違え、チェーンを外してしまう。チェーンを外したのは4年ぶりのことだ。チェーンをいじっている間に賽銭袋から、10円玉がこぼれる。あわててひろう。だいぶ疲れてきたのかもしれない。 手を油で真っ黒にしてチェーンを直し、最後の坂を登り、あとは軽快に坂を下り「善楽寺」に到着。駐車場には先ほどのバイクお遍路のバイクが駐車していた。山門脇には、25回の自転車お遍路の自転車があった。25回氏は参拝を終えたのか、ベンチでゆっくりタバコを吸っている。 参拝をすませ、25回氏に軽く挨拶して「竹林寺」を目指す。 11:20出発。
■これで打ち止め、なのか?三十一番霊場「竹林寺」(13:40/222.9km) ここでいきなり道を間違える。もと来た道を戻ったのだが、けっこう急な坂を登って県道に戻り、しばらく走ると土佐神社の鳥居の前を通り過ぎる。土佐神社と善楽寺は隣同士。つまり、行きも帰りも、土佐神社を抜ければ楽に行けたのだ。チェーンを外すこともなかった。ちょっとがっかりする。 既に高知市内に入っている。走っていると風景が徐々に都会風になってくる。県道44号をずっと走る。四車線の立派なバイパスだ。その分、照り返しもきつい。気温はどんどん上がっていく。お腹も減ってきた。 県道44号の脇に近代的な県立美術館があった。ここの食堂で昼食を食べようと駐車場に入る。タクシーの運転手二人が客待ち顔で話をしている。念のため、食堂があるかどうかを尋ねると、「高いで」と言われる。高級イタリア料理とか。「それより橋を越えてちょっと行ったら、安いところがあるきに」と教えてくれた。 言われたとおり橋を越えて走ると何軒かレストラン、食堂があった。めずらしくファミレスまであった。徳島市を出て以来、ファミレスは見たことがない。そこでファミレスで昼食にする。スパゲティにドリンクバー付きサラダを頼む。別にサラダが食べたいわけではなくて、ドリンクバー350円、ドリンクバー付きサラダ380円という、妙な価格体系だったためだ。 食事もそこそこに、アイスコーヒー、カルピス、ハイシーなどを飲みまくる。残念なことにフレッシュジュースはなかった。少なくともドリンクバーは元をとったな。 12:50出発。 再び44号に戻り、やがて標識に従い、県道をそれて進むと竹林寺への車道の入り口に着いた。当初は遍路道を歩いて登るつもりだった。しかし見るとそれほど急な坂ではない。自転車に乗って走り出す。 全体に坂はなだらかで、途中2〜3回降りて休むが、押して進むことはなかった。歩いて登る人も何人かいた。中には、お互い背負って坂を登る青年二人組などもいた。体力がうらやましい。ここは高知市のエクササイズ・コースなのかもしれない。 楽をしようと思い、五台山の山頂近くの駐車場に自転車を停めた。山頂を越えて竹林寺まで歩いて行こうとすると、後ろから声をかけられた。先ほど追い抜いた、歩いて登っている女性の二人連れだった。
既に25回氏が居て、やはりのんびり自転車の手入れなどをしている。軽く挨拶して「竹林寺」へ。さすがに広く、美しく手入れされたお寺だ。参拝をすませ、自転車に戻る。 これで今回の予定は終了、のはずだった。しかし17時の列車までには3時間ある。念のため、25回氏に次の「禅師峯寺」までの時間を尋ねる。 14:05出発。 ■これでほんとに今回は打ち止め。三十二番霊場「禅師峯寺」(ぜんじぶじ)(14:45/230.4km) 五台山の、登ってきた道と反対側の坂道を駆け下り、川沿いの道を走る。「新瑞山橋」を渡って進む。瑞山というと、この辺りが武市半平太(瑞山)の住まいのあったところか。そういえば右手に見える山すその景色が、昔テレビで見た半平太の実家付近と似ている。 感慨にふけりながら走る。突然、右手の道から25回氏が自転車で現れ、行く方向を指し示す。どうやら心配して追いかけてきてくれたらしい。なんだか幌馬車を助けるために駆けつける騎兵隊みたいだった。 25回氏に先導されて、予定通りの時間で「禅師峯寺」に到着。ここもお寺は山の上だ。やはり登山道と車道の二つの選択肢がある。25回氏は「坂は竹林寺と同じくらいかな。僕は登山道を行きます」という。僕は降りる時間も考えて自転車で行くことにする。 竹林寺より小さい山だが、その分、斜度は厳しい。しかし頑張って登らないと帰れない。最後の数十mはスタミナ切れで押すことになったが、何とかクリア。 汗だくになりながら参拝をすませ、納経所へ。ところがこんな時に限って人がいない。人の気配がするので、何度も声をかけるが出てこない。しばらく待つと、ようやく女性が出てきた。トイレ休憩だったのかな。だとしたら申し訳ないことをした。 納経を終えて下山。と、そこには25回氏がいた。 カメラのメモリーは竹林寺で打ち止めとなった。実はバックアップとして携帯に大容量のメモリーを入れていて、それを使えばよかったのだが、急ぐあまり忘れていた。どちらにしても禅師峯寺は次回のスタート地点になるので、もう一度来ることになる。またしてもラッキーだと思う。 15:10出発。 ■なんとか撤収準備完了。<高知駅>(16:00/242.6km) ここからはもう、休みもなくひたすら走る。時間的には問題ないはずだが、まだ自転車をばらす作業も残っている。例によって25回氏の教えてくれた道からは外れているが、だいたいの方向はあっている。道路標識の「はりまや橋」を目指して走る。そして徐々に市街地に入り、発車1時間前に駅にたどりついた。 早速駅で自転車をたたみ始めるが、やっぱりトラブル。ペダルが外れない。今回、出発前にグリスを塗っておかなかったのが原因のようだ。駅のはずれで作業していたのだが、そこには客待ちのタクシーが並び、暇な運ちゃんがものめずらしげに眺めている。10分ほど悪戦苦闘し、ようやく外れる。全身汗まみれになってしまった。 ようやく輪行袋に自転車を詰め、かついで歩き出すとタクシーの運ちゃんに呼び止められた。「忘れ物だよ」。実はいらなくなった小さな梱包材だったのだが、お礼を言って袋に詰める。ゴミは捨てちゃいけませんね。 不精を決めてタクシーで帰宅。<自宅>(20:50/242.6km) 16:30 少し早いが改札を通ってホームに出る。お茶と弁当を買い、ついでにアイスクリンも買った。アイスクリンは列車が来るまでにホームで食べる。向かいのホームに、やっぱり輪行袋を持った青年がいる。大きさからみてBMXかな。なぜかこちらと目を合わそうとしない。 17:00 定刻どおり列車は出発。ほとんど満員だ。例によって自転車の置き場所に困る。自転車を縦にして、車両後部のスペースに押し込んで何とか解決。しかし列車が大きく揺れる度に、倒れないかと心配になり気が休まらない。次回、また高知まで自転車を運ぶのが憂鬱だ。やはりバスかな。 19:27 岡山駅着 19:42発の新幹線に乗り換える。新幹線では自転車の置き場が確保でき、ゆっくりできる。周りは意外にスーツ姿が多い。 20:23 名古屋駅着。自転車を組み立てようかと思ったが、今から組んで自走して帰ると、帰宅するのは12時近くなりそうだ。不精を決め込んで、タクシーに自転車を積んでもらい帰宅。途中、運転手さんとお遍路の話になる。 20:50 自宅到着。翌日の仕事が思いやられる。 今回の旅程
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